Profile

好岡 政宏(よしおか まさひろ)

1958年4月20日生、1982年4月入庫、高富、茜部、木曽川各支店長、営業統括部ブロック長、人事部長を経て2014年6月理事、人事部長委嘱、2017年6月総務部長委嘱、2018年6月常務理事、同委嘱、2020年1月国際業務部長委嘱、同年6月専務理事、2021年6月副理事長、2022年4月理事長。

田中 信康(たなか のぶやす)

大手証券会社で株式・デリバティブ取引、リサーチ、人事、財務・IR、広報など幅広い業務を経験。その後、財務・IRコンサルタントやM&Aアドバイザー、コーポレートコミュニケーション支援の責任者として、経営戦略と情報開示を支援。ESG・SDGs、統合思考の導入や社内浸透、講演・ファシリテーションに加え、企業と自治体の連携による地方創生・地域プロデュースにも携わる。
2021年にはSDGs連携コミュニティポータル「Re(リ:タッチ)」を開設。エグゼクティブプロデューサーとして、企業・自治体・金融機関・教育機関など多様なステークホルダーとの共創を推進し、地域課題の解決やサステナブルな社会の実現に向けたプロジェクトを企画・プロデュースしている。

  1. 2024年8月より 株式会社Sincを設立し代表取締役社長兼CEO
  2. 2025年6月より サンメッセ株式会社 代表取締役社長に就任

サステナブル・ブランド国際会議にてESGプロデューサーを務め2025年より総責任者に就任

岐阜信用金庫が40年前から発行してきた広報誌「トークぎふしん」。地域企業や地域社会との対話を大切にしてきたその精神を受け継ぎ、新たなWebメディア「ぎふしん未来TALK」がスタートしました。

実質賃金を上回る物価上昇や少子高齢化による人材不足など、地域経済を取り巻く環境は大きく変化しています。さらに2026年6月には政策金利が1.0%へ引き上げられ、地域金融機関に求められる役割も新たな局面を迎えています。

こうした中、2026年5月8日、岐阜信用金庫、サンメッセ株式会社、株式会社Sincは、「地域のサステナビリティ推進と地域ブランディングに関する共創パートナー連携協定」を締結。サンメッセグループが展開する地域共創メディア事業「Re:touch(リ・タッチ)」の知見も活かし、地域企業の挑戦や価値創造を発信するプラットフォームとして「ぎふしん未来TALK」を開設しました。地域の持続的な発展に向け、多様な主体が未来について語り合い、共創する場づくりを進めていきます。

今回は、「ぎふしん未来TALK」の開設を記念し、岐阜信用金庫理事長の好岡政宏と、Re:touchエグゼクティブプロデューサーでありサンメッセ株式会社代表取締役社長の田中信康が対談。地域のサステナビリティを支える金融のあり方や共創の可能性、そして次世代へ引き継ぎたい岐阜の未来像について語り合いました。

金融機関らしくないことをしたいと、 創業の地にG’s Dreamを開設。

G’s Dream外観

田中 まずは、2024年に創業100周年をお迎えになり、誠におめでとうございます。長く岐阜の地で金融機関を続けてこられ、次の100年に向けてスタートを切られているわけですが、この100年を少し振り返っていただけますか。

好岡 一言で言えば、地元のお客様があって初めて成り立つ会社ですので、地元の企業の皆様、個人の皆様にお世話になって、これだけの事業になってきたと思っております。そして忘れてならないのは、諸先輩が足で稼いでここまでやってきたこと。先輩方がやってきたことをしっかり引き継ぎ、後進に受け継いでいく。この精神は変わらずやっていきたい。お取引先も自治体から民間企業、そして私たちはどちらかというと中小企業を中心にやってきましたので、そこが一番の財産だと思っております。

田中 この建物がすばらしくて、「G’s Dream」という名称ということですが、ここについても少し教えていただけますか。

好岡 私どもは89店舗あるのですけれども、銀行業らしくないことをやろうと考えました。1階がこういったイベントなどのスペース、2階がセミナー、勉強会、会議を中心としたスペース、3階は職員のためのスペースとなっております。創業時はここに本店があり、この創業の地で、新しい試みをやろうということで始まりました。専門のスタッフを5人置き、試行錯誤しながらの1年でしたが、いろんな分野の試みを一つひとつやってきて、かなり多くのセミナーやイベント、そして来場者ということでも、今のところ成功しているのではと喜んでおります。

田中 金融機関でないような洗練されたイメージがあって。地域おこしだとか、地方創生という言葉がぴったりの空間になっていて、若い方が結構いらっしゃるのですけど、活気があってとてもいいですね。

好岡 ありがとうございます。岐阜市には南北に大きな通りが3本あるのですけれども、その中でも一番東の「長良橋通り」がどちらかというと生活道路になっているのですね。私たちの金融業務もそうですけれども、商店街、昔ながらの生活感が非常にある街で、そういうところでできたのが非常によかったかなと思っております。

田中 金融機関の立ち位置もこの直近かなり変わってきている。金融市場や社会情勢がものすごいスピードで変化しています。こうした中でどんなポジショニング、どこを担っていくのか。そのヒントに、「共創」があると思いますが。

好岡 ぎふしんでは「まちづくり」がキーワードの一つで、私たちがこの街で育ってきたことを踏まえて、盛り上げたい。イベントやセミナーで盛り上げるのは当然ですけれども、ハートの部分でも、心に残るもの、未来へ向かっていくようなお手伝いができたらとやっております。田中さんが仰るように、競争ではなくて、「共に創る」共創で。お客様から教えられることもたくさんありますし、私たちの専門的なことをお伝えしながら、ご活躍いただけるヒントにしていただくのが商売ですので、共に成長していく、作り上げていく。それを目指したいですし、期待されていると思っております。

スタートアップ企業の成長をお手伝いするのが役割。

田中 お客様の層は中小企業の経営者というか、中小企業はやっぱり日本経済を支えているという、ボリュームの大きいところですよね。

好岡 実際に、当初の立ち上げの時からお取引があって、育っていかれて、上場企業になられた会社さんもいくつかありますし、上場まで行かなくても大企業になられているところもかなりあります。今で言うスタートアップのような企業さんの成長をお手伝いするのが、やはり私たちの役割で。

田中 好岡理事長がおっしゃった「心」、ハートをプラスして、「笑顔と夢」といったことも非常に重要だと思います。今回、「共創」を目指して、私たちの会社とも一緒に連携でやっていこうと。「ぎふしん未来TALK」のような情報発信は、ぎふしんさんにとって降って湧いたものではないと聞いていますが。

好岡 これまでにも「トークぎふしん」という紙名で小冊子を作っており、主に取引先の企業様のご紹介をするということで、長くやっていたのですけれども、時代の変化もあり、中断したのが現実でして。ところが、よくよく考えてみれば、企業様を世の中に紹介し、いろんなお手伝いをするのは、そもそも私たちの根本的な仕事の一つだと再認識しました。従来のやり方では途絶えてしまったことを踏まえ、どういうやり方がいいのかをスタッフが考えて、Webを取り入れて、若手の職員が実際にお客様のところへ出向いて、彼らがお話をしてご紹介する。こういう取り組みがいいのではないかということで始めようとなったのが、今回の趣旨です。

田中 「トークぎふしん」という冊子は、40年くらい前から作られていたと。

好岡 そうです。すごい歴史があるわけです。

田中 これを今の時代にフィットしたやり方で、Webに進化させるだけでなく、積極的に発信していく、しかも職員の皆さんの力で盛り上げる。ここに大きな意味があると思います。これこそ、好岡理事長のおっしゃる「地域に根差した金融機関のあり方」を、再構築されたところだと理解しています。実は、弊社が地域サステナビリティのプラットフォーム「Re:touch(リタッチ)」を立ち上げたのも、周りを見渡すと、岐阜県の中小企業にキラッと光る方々がたくさんいらっしゃる。ところが、その方々が発信をされていない。発信する時間がない、コストや人をかけられないとか、いろんな理由があるわけですけれども、そういうところをお手伝いしていきたいと。

好岡 私たちと一緒にやらせていただけるということで、非常にありがたく思っております。

田中 より多くの方に見ていただいて、「ぎふしんってこういうことをやっているのだ、すごいな」というところから入っていただく、入り口であってもいいのではないかと思っています。お客様にも、日本を代表すると言っても過言でない企業さんが本当にたくさんいらっしゃいますよね。そういったところをご紹介させていただく

好岡 具体的には、脱炭素やSDGsもあるのでしょうけれども、やはり中小企業も、仕事をいただいている大元のところからのいろんな要求の中で、サステナビリティの推進、これをやっていないところには仕事が来ない、選んでいただけない、という時代だと思うのですね。こういうことをやっていくのが当たり前、常識的な世の中になっている。まだ浸透できていない企業さんも実際に多いと思いますので、そこに対しても私たちがいろいろな形でお伝えして、「一歩上がってください」という言い方もありですし、非常に重要なことだと思っております。

サステナビリティを可視化して自社の立ち位置を知ってもらう。

田中 一つには、マーケットの環境がこれだけ厳しくなってきた中で、「選ばれる企業」にならなくてはいけない、ということだと思います。実際にはハードな要求がなされたり、サプライヤーとして求められる要素として、脱炭素があったり、中には人権の問題、当然、パワハラ・セクハラ、下請法といったことも当たり前になっている。サステナビリティというキーワードには非常に広い意味があって、やっぱり「人を大切にする」のが根本にある。人的資本という言葉もよく聞かれるようになりましたし、国の施策の中で、上場企業や従業員300人超の会社には、コンプライアンスや情報開示が義務化される。今までなかった領域に踏み込んでやらなければいけない。これは、中小企業はやらなくていいと言っているわけではなくて。

好岡 今までずっとやられてきているところも結構あると思っております。この辺りを整理していく中で、いろいろなアドバイスをさせていただいて、「もっとこう広報的に見せたらどうか」ということもやらせていただく。

田中 企業が持っている人の財産、知財、ノウハウ、こういうことをもっと強みとしてアピールしたり、もう一つは「課題はここだから、補うために何をしようか」、と可視化して具体化していくのが、企業を経営する上で非常に大きなポイントだと思います。この辺りのアドバイスは、ぎふしんさんの視点からのソリューションの商品ラインナップもお持ちで、例えばPIFであったり、サステナブルファイナンス、サステナビリティ・リンク・ローンであったり、こういうことをまさに今やってらっしゃいますよね。

好岡 やっぱりお客様の中では、「分かっているけど、自分のところの位置がどの辺りにあるのか」、脱炭素一つ捉えても全く分からない、ということがあります。まず可視化をして、自分の位置がどこかを認識することが、一番最初の入り口だと思うのですね。

田中 サステナブルファイナンスというご提案に行くと、まずそこで門戸が開かないというか、お客さんも「何のこと?」と言われると思うのですけど、結構この辺りでご苦労なさっていることはありますか。

好岡 先ほどの、お仕事をいただいている大元のところから強い要求があったりして、そこがスタートしていなければということもあります。特に中小企業、さらに小規模事業者は、そうした苦労があると思いますね。

田中 ただ、ぎふしんさんはかなり、日本全国の中でもこの辺りの実績をお持ちだと聞いています。こうしたソリューションをやられたフィードバックはいかがですか。

好岡 「そういう認識をまず持てた」という感謝的なお話はありますし、「課題が明確に見つかった」、「次へのステップが分かった」というお話もいくつか聞いております。私たちもそれを見ながら、次の段階にどう行きましょうか、行かなかった場合はどうするか、というストーリーを描いているので、そういったことで経営を支援できることを目指す、ということですね。

ぎふしんで「人」を育てて、まち全体を盛り上げていく。

田中 決して難しいことをやろうとしているわけではなくて。古くから、日本の経営、特に信用金庫のお客様は、長くやられている経営者がたくさんいらっしゃいますし、いいことをやっていること、実際にキャッシュが動くことをやられているわけですから、そこに対してもどんどんアピールしていただいて、若い人たちや未来の世代に対しても、「こういう関係を、自分たちがコストをかけてでもやっていくのだ」という意思表示をしていただくのが、現代の経営なのではないかと思っています。

好岡 ぎふしんのお客様の中でも、やはり事業承継、昔から後継ぎの問題がありました。事業を継続していくこと、持続的であることが非常に重要です。技術があるところなどはなおさらで、それを閉ざさずやっていくことが、地域経済が継続して発展していく上でも非常に重要で、そういったことに力を入れていきたいです。

田中 ぎふしんさんのソリューション、PIFやリンクローンで可視化されていって、外部の視点から見ていただいて、「これでよかったんだ」と思える。その立ち位置を感じる上でも、いいきっかけになっているんですね。

好岡 新たな視線で自社を見直すという点については、いい商品だと思いますけれども、浸透度合いはもっといけるところがありますので、進めていきたい。

田中 そんななかで課題として感じていらっしゃることはありますか。

好岡 突き詰めると、それは「人」だと思っております。ぎふしんのことですけれども、やはりうちの職員・役職員が、物事をきちんと捉えて、正しいことを正しくできること。そういう人を育てて、その人がお客様のところへ行ってできることが、まち全体を盛り上げていく一つの力になればと思っておりますし、私たちの中でしっかり共有してレベルアップを図っていきたい、というのが結論です。

田中 まさに、それがサステナビリティの原点かなと思います。この「ぎふしん未来TALK」を通じて、ぎふしんさんのこうした姿勢や、これからどうしていこうというところを感じ取っていただけるといいなと思いますし、これが地域のまちおこしの原動力の一翼になればと思いますので、この責務をしっかり担っていきたいと思います。最後に「ぎふしん未来TALK」をご覧いただいている方々へメッセージをお願いします。

好岡 地元で育ち、地元に育てられ、本当に皆様方に少しでも恩返が、いろいろな形でできればと思っております。皆さんを応援していく一つの道具にしていただいて、使っていただきたいと思います。
たくさんの皆さんに「ぎふしん未来TALK」をご利用いただけるよう、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいですね。

※本文中の役職、所属、経歴および年数に関する記載は、2026年6月時点の情報です。